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月曜日、会社に行くと、出会い系を教えてくれた部下が寄ってきて、

「藤原さん、どうでした？登録してみました？」

と聞いてきたので、しっかり楽しんでいるということも何となく言えず、

「いや、まだ。」

と、嘘をついてしまいました。

「なんだ。そうなんですか。じゃあ、今度登録してみてくださいね。」

なんて親切というか、おせっかいな奴なんだ、と思いましたが、すでに２人の女性とのメールを楽しんでいるんですから、ありがとうの一言ぐらい言わないといけないかもしれませんね。

そして、その日の昼休み、携帯にのぞみさんからメールが届きました。

「今日は旦那が出張から帰ってくるんです。週末はしばしの天国だったんですけどね（笑）

今日はすごく天気がいいので、公園をぶらぶらしています。」

と、公園の写真が添付されていました。

ん？？なんか見覚えのある公園・・・

そこには、公園の名前がしっかりと写っていたので、それを見て思い出しました。

２週間ほど前に、取引先へ行った時に通りがかった公園です。

ということは、のぞみさんはすぐ近くに住んでいる？？

同じ市内、とうことはわかっていましたが、住んでいる場所まで特に気にしていなかったので、聞きもしなかったんです。

思い切って、のぞみさんに聞いてみました。

「もしかして、その公園の近くに住んでいるの？このあいだ、取引先に行く時に、その公園を通りがかって・・・もしかしたら、思ったよりも近くにお互い住んでいるのかも。」

このメールを読んで、のぞみさんがどんな反応をするのか気になりましたが。

そして、いよいよ美香さんの写真です。

彼女は、正直言って、僕の期待のしすぎだったと思います。

こんなことを言うのはすごく失礼ですが・・・

すごくキレイ、とか、すごくかわいい、という感じではなく、かわいらしい感じというか・・・

そうですね、よくいるタイプの普通の女性、とでも言いましょうか。

でも、だからといって、別にメールをやめるわけでもないですし。

せっかく知り合った女性ですから、この出会いを大切にしたいと思います。

早速彼女にもメールを送りました。

「写真ありがとう。僕も、想像していたよりも、ずっとかわいらしい女性でびっくりしました。」

こんなことを書いてみました。

たぶん、彼女も写真を送ったことで、僕の反応を気にしているでしょうし、何もコメントをしないのも彼女を傷つけるでしょうし。

女性は褒められたらうれしいんですよね。

ここは一言書いておくのが無難だと思いました。

そんなこんなをしていると、僕と同年代ののぞみさんからメールが来ました。

さっき送ったメールに、僕も結婚している、と書いて送ったんです。

それを読んで、独身だと思っていた、と書いてありました。

特に、独身男性を探しているわけではなかった、ということだったので、既婚者でもＯＫなわけです。

よかった。

のぞみさんの写真は、プロフィールに載っていたので、顔はわかっていました。

とてもキレイな女性で、ご主人がうらやましいくらいです。

そして、その彼女も、僕の顔を見たい、というのです。

当然かもしれませんね。

早速、のぞみさんにも。さっき撮った写真を送りました。

午前中、出会い系サイトにはログインをしたままで、ちょっと仕事の資料を作成しました。

仕事に没頭していたため、時間が経っているのことに気が付きませんでしたが、いつの間にかお昼になっていました。

軽く食事を済ませ、メールチェック、と思いメールボックスを覗くと、美香さんからのメールが届いていました。

今回のメールで、

「よかったら、写真を送ってくれませんか？どんな方か見てみたいので。興味がわいてきました。私も後で送ります。かわいくないので、期待はしないでくださいね（笑）」

とのこと。

僕の顔が見たい？

どうしよう・・・

写真なんてないし・・・

しょうがないので、恥ずかしながら、その場で携帯で撮ってパソコンに読み込み・・・・

それをメールに添付して送りました。

周りからは、年齢の割りに若く見えると言われますし、自分で言うのものなんですが、昔は結構モテたんです。

ただ、あまり自分自身では自信がなく、写真を送ってメールがこなかったらどうしよう、と少し不安にも思いました。

そして、ドキドキしながら、１５分ぐらい時間が経ったでしょうか。

美香さんからメールが届きました。

「想像よりもずっとかっこいい人で、びっくりしました。なんだか恥ずかしいですが、写真を送っていただいたので、約束通り私も写真を送ります。がっかりしないでくださいね。」

と、彼女の写真が添付されていました。

まずは、自分の写真を彼女が見て幻滅せずにメールをくれたこと、しかも、かっこいいと言ってくれたことで舞い上がっていました。

久しぶりに、女性からかけられた嬉しい言葉でした。

次の日、日曜日で会社は休みです。

会社が休みの日でも、会社へ出て仕事をしないといけない日が多いのですが、今日は特に急ぎの仕事もなく、予定もなかったので、今日も出会い系サイトで遊んでみようと思いました。

ほんと、つい先日まで出会い系サイトに嫌悪感をもっていたのに、たったこの２日ぐらいですっかりはまってしまっている自分が、なんだかおかしい感じがしました（笑）

こうやって、みんな出会い系サイトにはまっていくんですね。

早速ログインしてみると、３通の新着メールがきていました。

１通は、例のごとく、事務局からのお知らせメールでした。

このお知らせメールは、毎日のように届くんですね。

ただ、おもしろそうなイベントなどの企画もあるので、また機会があれば参加してみようと思います。

そして、後の２通は・・・女性からのメールでした。

２人とも、昨日の夜遅くにメールをくれていたようです。

１通は、美香さんです。

彼女とは、順調ですね。

昨日は１日かけてたくさん話をしたような気がします。

そして、もう１通・・・・

それは、昨日僕からメールを出した、僕とほぼ同年代の女性からでした。

僕のプロフィールも見てくれて、メールをくれたとのことでした。

僕は結婚していることをプロフィールに載せていないので、彼女には正直に話をしないと、と思いました。

早速、美香さん、そして、新しい女性、のぞみさんにメールを書いて、今日の楽しい１日が始まろうとしています。

今日もコーヒー片手に出会い系サイトです。

実はその土曜日、1日かけてゆっくりと美香さんとメールのやりとりをしながら、近くに住んでいる女性の検索をして、２人の好みの女性をみつけていたんです。

そして、迷わずに２人にメールを出しました。

最初、出会い系サイトを使うことを躊躇していたことを思うと、なんだかそんな自分が信じられませんが・・・

１人は僕よりうんと年下の女性で、２０代前半の女性です。

すごく若いな、と思ったのですが、こんな年齢の女性と知り合うには、こんな機会でもなければありません。

幸い、その彼女も、年上の男性と話をしたい、ということだったので。

そして、何よりも、写真付きのプロフィールだったのですが、また、かわいいんです。

最近は写真の撮り方次第で全くの別人にもなれるようですが、とにかくかわいい子だったので、だめもとでメールしてみました。

そしてもう１人は、僕とほぼ同年代だと思われる女性です。

この女性は、結婚している、ということでした。

結婚している女性が、こういう出会い系サイトを利用している、ということが、僕にはカルチャーショックでしたが、プロフィールを見て、何となく気があうかもしれない、と思い、メールしてみました。

その日のうちに、その２人の女性からはメールの返事はありませんでした。

まだ出会い系を始めたばかりです。

気長にゆっくり待ってみようと思います。

ただ、初めてすぐ、という僕でも、美香さんと知り合うことが出来たんです。

これだけでもすごいことじゃないでしょうか。

これからに期待をしてみようと思います。

メールを送った後、なんかありきたりの文章だったかな・・・とちょっと反省もしましたが、正直、何が正解なのかもわかりません。

ま、とりあえずはいいか、とメールの返事を待つことにしました。

彼女もオンラインなので、すぐにメールの返事がくるはず、とドキドキしながらじっとメールの返事を待っていました。

５分、１０分と経ちましたが、メールはきません。

そんなにすぐに来るものではないのかもしれませんが、彼女がオンラインだったということもあり、初心者の僕は、すぐに返事がくると期待をしていたんです。

「やっぱりダメか・・・」

と半ば諦め、今度は自分からメールを送ってみようと思い、好みの女性探しを始めました。

と、そんな時に、その美香さんからのメールが来たんです！

メールボックスを開いた時に、

「やったっ。」

と、思わず、小声でしたがつぶやいた自分に、ちょっとびっくりしました（笑）

そこからです。

美香さんとのメールのやりとりが始まりました。

チャットのように、すぐに返事がくるわけではありませんでしたが、時間をおきながら、その日だけでも結構なメールをやり取りしたと思います。

少しだけ彼女のことを教えてもらい、少しだけ自分のことを話しました。

ただ、なぜか、僕は結婚していることを隠していました。

わかりませんが、なんとなく、結婚していることを話したら、メールが来なくなるような気がしていたんです。

きっと、そんなことはないんだと思うんですが・・・

話もなんとなくあいそうだし、このまましばらくメールのやりとりをして、彼女との様子をみてみようと思いました。

「僕のあのプロフィールを見てメールをくれたんだよな？写真も載せていなかったのに・・・」

僕は、そのメールに張ってある女性のプロフィールのリンクへすぐにとんで、彼女がどんな女性なのかをチェックしました。

その彼女のプロフィールにも、写真はありませんでした。

恥ずかしいので、仲良くなってから写真を送る、と書いてありました。

「そうか・・・顔がわからないのか・・・」

少し残念な気もしましたが、僕も顔写真を載せていないので、わがままもいえません。

それに、初めてメールをくれた女性です。

しかも、彼女の方からです。

プロフィールを見ましたが、僕より少し年下の女性でした。

とりあえず、彼女にメールの返事を書いて、少しメールのやりとりをしてみようかな、と思いました。

焦る必要はありません。

別に、今日明日にすぐに会える人を探しているわけではないんですから・・・

彼女はオンラインになっていました。

ということは、返事を書けば、またすぐにメールがくる可能性も高いということです。

初めての女性からのメールに、ワクワク、ドキドキしながら、メールの返事を書きました。

「はじめまして。メールありがとうございます。僕も登録したばかりで、何をどうしたらいいのかわからずにいました。初めてもらったメールが、美香さんからのメールでした。ぜひ、お友達になりましょう。」

お友達・・・

友達という表現があっているのかどうか、よくわかりませんでしたが、自分は変な目的じゃないんだよ、ということをアピールしたかったからなのかもしれません。

今日はゆっくりとパソコンに向かうと決め、コーヒーを入れてパソコンに戻り、出会い系サイトを眺めます。

ほんとにいろんな女性がいるな、とつくづく感心し、こんな女性の人達との出会いのチャンスが目の前にあるんだ、と思うと、わくわくし、そしてドキドキ感もうまれてきました。

その出会い系サイトでは、オンラインになっている会員の数が、リアルタイムにわかるようになっているのですが、今日は土曜日ということもあってか、かなりの数の会員の人達がオンラインになっていました。

こういう時は、メールのやりとりも結構スムーズにいくようです。

そんな感じで、コーヒーを飲みながら、女性のプロフィールを見ていると、メールの新着のアラートが鳴りました。

新着メールが来ました。

また、出会い系サイト事務局からのメールだろうな、とあまり期待をせずにメールボックスを開いてみると、なんと、それは女性会員からのメールでした。

え？？

一瞬目をうたがいました。

登録したのは夕べ、そして、プロフィールを完成させたのはつい先ほどです。

件名には、

＜はじめまして。美香です。＞

と書いてあります。

明らかに女性からのメールです。

こんなにすぐにメールがくるものなのか？

しかも、自分からメールを出したわけではありません。

なんか不思議な感じがしながらメールを開いてみると、

「はじめまして。美香といいます。最近この出会い系サイトに登録をして、今回メールを出すのは初めてです。お話をしてみたいな、と思ってメールしました。よかったら、お返事ください。」

とありました。

次の日、土曜日の朝、少し遅めに目覚めました。

夕べ、そんなに飲んだつもりはなかったのですが、スコッチのボトルを見ると、思ったよりも量が減っていました。

「あれ・・・夕べあんなに飲んだのか・・・どうりでちょっとお酒が残っているはずだ。」

少し二日酔い気味でコーヒーを入れ、目覚めの一杯です。

そして、夕べの出来事を、ゆっくりと思い出しました。

そうだ、出会い系サイトにとうとう登録したんだった・・・

しかも、メールまでしたんだ。

と、なんだか自分がやけに恥ずかしくなり、ちょっと落ち込んでしまいました。

お酒の勢いとはいえ、この僕が出会い系サイトなんて・・・

あの女性からは、メールはなかったんだよな・・・

と、思い出した僕は、その女性からのメールが来ているのか、気になりだしました。

すぐにパソコンに向かい、夕べ登録したばかりの出会い系サイトへログインしました。

酔っていたにもかかわらず、しっかりとお気に入りに登録されていました。

そして、昨日しっかりとチェックした、メールボックスへ。

ここでメールのやり取りをする、ということも覚えていました。

すると、1通の新着メールが！

それを見た瞬間、ドキドキしてしまいました。

そして、新着メールをチェックすると・・・・残念ながら、それは、出会い系サイトの事務局からの、イベントの案内でした。

かなりがっかりしましたが、そんなに簡単に女性と知り合えるわけじゃないんですよね。

と期待している僕も、夕べ登録するまでは、かなり否定的だったのに。

そんな、ちょっと出会い系サイトにはまりかけている自分が、ちょっと滑稽でした。

まさか自分が、出会い系サイトを利用するなんて・・・

ほろ酔いの頭の中で、そんな、まさか、がめぐっていました。

とりあえず、嫁のことは忘れようとしている自分がいました。

気に入った女性にメールを出すなんて、嫁と出会って以来です。

正直、しらふであれば、何を書こうか迷ったかもしれませんが、その日はアルコールが入っていたので、思いのほか、すらすらとメールを書いている自分がいました。

そんなに簡単に返事なんてくるものなのかな、と半信半疑でしたが、なんせ全く初めての出会い系サイトなので、わからないことだらけです。

この出会い系サイトを教えてくれた部下に聞くわけにもいかず、サイトの使い方から、メールの送信の仕方など、じっくりと読みながらのことでした。

そして、無事にその女性にメールを送り、ひとまずほっとしました。

まだ何も始まったわけではないんですけどね。

とりあえず初めての出会い系サイトに、ちょっとわくわくと罪悪感がいりまじった、不思議な感じでした。

次の展開とすると、女性からのメールの返事を待つしかないんですよね。

素直に、メールの返事がきますように、と願いながら、メールを待っていました。

しばらく、その出会い系サイトをいろいろ眺めていると、いつの間にか1時間が経っていました。

やっぱり返事なんて、そんな簡単にくるものじゃないんですね。

ちょっとだけがっかりして、その日は休むことにしました。

もしかしたら、メールの返事がくるかもしれない、という期待を込めて・・・・